彫師の顔とも言われる図柄、『龍』について簡単にご説明します。

本当に人気があって伝統的な図柄であり、種類や意味合いなど一度に全ては紹介するのは難しい図柄です。

この記事では龍の基本的な情報について掲載します。

※文中の画像は全て日盛の作品です。

龍の成り立ち

桜満開の迎春龍

『龍』は干支に数えられるほど有名な幻獣で、想像上の生き物では日本人に最も馴染みのある生き物と言っても過言ではないでしょう。

では、龍とは何か。『龍』は、一言で言うと『神様』です。

弥生時代の頃、農耕民族である日本人が最も必要としたのは、水です。

作物が育つ為に必要不可欠であり、且つどんなことでも多用できる水を確保することが効率的であるため、大河のほとりに文明が栄えたのは、中国における黄河文明・長江文明にも共通することです。

そこで人々は豊作を願い水を乞うために、地にしっかりと息づき河川のようにうねり、魚のような鱗を持つ「蛇」を神聖視するようになります。

これが八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を始めとする日本人の古い蛇神信仰として、根強い人気を誇っていきます。

この蛇神信仰が発展し、『龍』という神様が誕生します。

人々は豊作を願う神様として、春分に竜巻と共に昇天し、秋分に川へ帰ってくる『龍』という守り神を空想しました。

水を司り、川底という人々の最も近くにいて冬を共に耐え、華美且つ勇猛に昇天し、人々に春の訪れを知らせる『龍』は、日本人に今でも愛され続けています。

龍の風貌

鹿の角、牛の耳を参考にしたデザイン

龍の風貌は『三停九似』と言われます。三停とは、前足と後ろ足の付け根で三分割すると、各部位はおよそ同じ長さになることを指します。

また、九似とは九つの動物に似ていることを言います。

角は『鹿』、頭は『ラクダ』、眼は『ウサギ』、胴体は『蛇』、腹は『蜃』(シン:霊獣)、背中の鱗は『鯉』、爪は『鷹』、掌は『虎』、耳は『牛』に、それぞれ似ていると言われます。また、口元には長い髭を左右対称に一本ずつ蓄えています。

龍の指

三本指の龍

龍の指は日本では一般的には3本が多いですが、中には4本や5本のものもあります。

元々、龍は中国で皇帝のシンボルとして扱われたので、その指の数が身分を表していました。

五爪の龍は天子の象徴とされ、一般市民がこれを使うことは禁じられていました。次いで四爪が貴族、三爪が士族、二爪が臣民、一爪が卑民を表していたようです。

日本ではこういった歴史が無いので、三爪が最も多いでしょう。当スタジオでは最も美しく見える本数として三爪の龍を基本的に採用しております。

最後に

背中用 昇り龍 原画

ここまで龍について基本的な情報を掲載してきました。

龍は日本伝統刺青として代表格の図柄であり、非常に人気のある図柄です。

そのためオーダーも多く、様々な彫師が実在しない(デッサンを取れない)龍をどう見せれば良いか苦心して図柄を作成します。

当スタジオでは文献や動物のデッサンを参考にしつつ、骨格の適合性や各パーツへのこだわり、施術箇所に合わせたデザインを重視します。ウロコ一枚手を抜きません。

そのために非常に迫力のある龍が生まれます。

龍をお考えのお客様は、よろしければ是非一度当スタジオの龍をご覧ください。きっと気に入って頂けると思います。


初代日盛一門

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